キャッシングとカードローンの違いとは?利用方法による分類の違い!
もともとキャッシングというのは担保などが用意できなくて銀行からお金が借りられないような人向けに融資したのが始まりで、こういった業者を当時サラリーマン金融(サラ金)と呼んでいました。
サラ金は厳しい取立で利用者を減らしましたが、需要がなくなったわけでは無かったため、店舗以外で借りられるような方法としてATMからカードで利用できるカードキャッシングの提供を始めました。
このカードキャッシングの利用者が増えて、銀行も無視はできなくなり、同じような仕掛けでカードローンと銘打って無担保で融資を始めました。
つまりカードローンもキャッシングの一種という事ができるわけです。
なぜキャッシングが誕生したのか?当初は窓口での融資のみ
キャッシングというのは高度成長期に誕生した現在の消費者金融の前身であるサラリーマン金融(通称サラ金)の金融商品から始まります。
このキャッシングは当時銀行が担保や保証人が無ければ融資していなかったために借りたいけれども借りられない人向けに、銀行よりも高金利で貸し出したもので、当時は窓口での取引でした。
このキャッシングは最初はそれまでお金が借りられなかった人も借りられるようになって大変好評でしたが、残念ながら高金利で返済できなくなる人が多く厳しい取り立てを受けて社会問題となってしまいました。
キャッシングは銀行からお金が借りられない人向けに誕生した
キャッシングとカードローンの違いを理解するには、キャッシングというものが何故必要だったかという事を説明する必要があります。
当時からキャッシングという言葉が使われていたわけではありませんが、原型になるローンはサラリーマン金融(通称サラ金)が高度成長期に現れ提供を始めたものです。
この現在で言うキャッシングの特徴というのは、担保無し、保証人無しで多くの人が簡単にお金が借りられるという点です。
当時お金を借りるには、街中には金融業者はありましたが、普通は銀行を利用するしかありませんでした。
ところが銀行というところは、お金が返済できない時を考えて担保や保証人がなければお金を貸すことはありませんでした。
そこに目を付けた業者が担保が無くても融資を始めたのがキャッシングの始まりという訳です。
当初はサラ金の窓口で直接融資されるのが普通だった
ただし、当時はまだまだ技術的には未熟なものがあり、融資の多くは窓口で手渡しで行われていました。
当時のサラ金というのは、すぐにお金が必要という人が店舗に飛び込んで借りるという事も多かったので、そういった方法が必要だったという面も有るでしょう。
現在のように、そこら中にATMがあってどこからでも引き出せるというような環境が整うのは、ずっと先で、長い歴史から見ればつい最近なのです。
サラ金は社会問題化し利用者が激減
当時は高度成長期ですから、いろいろなことを始めようと考えている人が多く、誰もがお金が必要な時代でした。
しかし銀行は説明した通りで、なかなか融資してもらうのが難しかったので、途方に暮れていた人もいたのですが、サラ金の出現で借りられるようになり、当初は大変歓迎される存在で利用者も増えていきました。
しかしそういった時期はすぐに終わってしまいます。
サラ金のビジネスモデルというのは、銀行から低利の融資を受けて、それよりも高利の金利で利用者に融資を行いその利ザヤを利益にするというんもので、どうしても銀行の融資よりも高金利になります。
ところが当時の法的な上限金利は現在のような低利にはなっておらず、すぐに雪だるま式に負債が大きくなってしまうものでした。
このため少しでも返済のリズムが狂うと、返済ができなくなってしまったのです。
しかも当時のサラ金は、裏社会と繋がりがあり、返済されなければ、そういった所の人たちが取り立てに現れ、厳しい取り立てを行ったのです。
こういったことが有って、一家心中に追込まれる人も出てくるようになり、サラ金というのは近付いてはいけない場所というように、イメージを落とし、利用者も激減してしまいました。
また、こういったサラ金を取り締まるために、現在で言う貸金業法ができたのもこのころで、サラ金はそれまでのようなやりたい放題ができなくなりました。
貸金業法というのは、本文で説明しているようにサラ金の厳しい取りてを規制する法律で、改正の度に厳しくなり、サラ金改め消費者金融の手足を縛っています。
特に直近の改正では、総量規制など消費者金融にとっては非常に厳しい規定が盛り込まれ、当時あったサラ金の半数は経営が厳しくなって消えてしまいました。
カードキャッシングが誕生した訳とは?消費者金融の生き残り策
こうしてサラ金は大変悪いイメージがついてしまいましたが、潜在的にキャッシングが必要な人は大勢いました。そこでサラ金は消費者金融と名前を変えて、以後イメージ戦略を開始しました。
また、それだけでは利用者を呼び込む言ことが難しいと考え、消費者金融のは先端技術を利用して店舗に行かなくても借入れできる仕掛けを開発していく事になりました。
その一つが窓口に行かなくてもATMから融資が引き出せるカードキャッシングというもので、この意味でカードキャッシングもキャッシングの一種という事ができます。
サラ金は生き残りの為消費者金融と名乗りイメージ戦略を開始
こうしてサラ金というのはやりたい放題が祟って、業界自体が存続に危機を迎えたわけですが、生き残りをかけて、各社とも地に落ちてしまったイメージの改善に努める事になります。
まず行なったのが、もうサラ金と名のっていたのでは利用者は来ませんから、現在のように消費者金融と名のる事でした。現在でも消費者金融はサラ金と呼ばれることに強く抵抗しているほどです。
次にそれまでの雑然とした店内を、誰でも入れそうな清潔でおしゃれなものに変えました。
さらに若手女優を使ってテレビコマーシャルを流したりして、イメージ改善に努めたのです。
このコマーシャルの戦略はかなりの効果があり、大手消費者金融の1つが流したものが業界全体を救ったとも言われます。
しかし、やはり悪くなったイメージはそう簡単には変わらず、店舗には行ってはいけないと考える人が、そう減ったわけではありませんでした。
店舗に来なくても融資の利用ができることを考えた
そこで消費者金融は店舗に来なくても融資が利用できる仕掛けを考えたわけです。
そしてそういったことを実現するために、消費者金融というのは先端術を次々に取り入れていきました。
よく挙げられるのは申込方法で、窓口で行っていたものを、まずは自動契約機で窓口に並ぶ必要をなくし、電話やFAXに対応し、更にネット経由で申し込みができるようにしました。
その後も携帯電話が普及すれば、すぐさまそれを取り入れ、更にスマホが登場すれば、専用アプリを提供するなど、非常に早く対応してきました。
借入れでもATMが利用できるカードキャッシングの提供が開始された
しかし、もっとも重要だったのは借入れの度に店舗に行かなくて済ませる方法でした。
そこで1980年代になり、利用者が増えてきていたキャッシュカードを参考にして、カードを利用する事でATMから融資を引き出す方法を考えたわけです。
考えてみればキャッシングという言葉自体がこの頃から言われ始めたように思います。
ですからカードキャッシングはキャッシングの一種という事になります。違いとすれば利用方法ということになります。
そこで消費者金融大手各社が、このカードを利用したカードキャッシングの提供を始めたわけです。
もちろん当初は利用できるATMは店舗にしかなかったり中途半端なものでしたが、その後徐々に利用できる場所が増えていきます。
こうして消費者金融のカードキャッシングは店舗に行かずに申込め利用できるようになって、もともと潜在的に利用したい人が多かったことから利用者数は増加に転じます。
現在ではATMは各金融機関が相互に接続していますから、殆どのカードキャッシングは全国から利用できるようになっており、大変便利になりました。
カードローンは銀行のキャッシング!以後この名前が浸透した
このカードキャッシングで消費者金融はまた利用者を増やしていけるようになり、そのうちに銀行も無視できなくなるほど利用者が増えていきました。
そこで銀行もカードローンと銘打って同様のキャッシングの提供を始めることになったわけです。
このようにしてキャッシングは銀行でも利用できるようになり、このカードローンと言う名前が浸透して、消費者金融もカードキャッシングのことをカードローンと言うようになりました。
ただし、そのままでは利用者の取り合いになるだけで、社会的に信用がある銀行側に利用者が集まってしまいます。
しかし、現在では審査に難易度が付いており信用が高い人は銀行を、信用が少々低くなると消費者金融を利用するというように住み分けがだいたいできてきています。
銀行もカードカードローンと銘打ってキャッシングに参入
銀行はそれでも頑なに従来の担保と保証人を要求する融資以外は行いませんでしたが、消費者金融が利用者を増やしていく中で、ついに黙っていられなくなり、無担保保証人無しのローンの提供の検討を始めます。
しかし、銀行はそれまでそういった分野の融資を行っていなかったため、消費者金融が開発した個人の信用保証という技術を持っていませんでした。
このためそう簡単にはこの分野に参入できなかったのです。そこ考えたのが、この信用保証を消費者金融に委託する事です。
消費者金融も融資以外に収入源ができますから、この話は両者にとってWIN-WINの取引でした。
それまで社会的に言ってもっとも評判の悪かった消費者金融と、最も信用されている銀行が提携したのですから、関係者でも仰天したはずです。
この関係が構築できたことで、銀行は消費者金融のカードキャッシングとほぼ同様の仕掛けでカードローンと銘打って融資を始めました。
カードローンの利用者が増えて消費者金融もカードローンと言い始める
当然ですが、銀行は消費者金融よりも信頼されていたわけですから、このカードローンは、それまで利用したくても消費者金融からは利用したくないという人も多かった訳ですから利用者数は急増していきました。
このため消費者金融のカードキャッシングは知らなくても銀行のカードローンはよく知られるようになりました。
このためそれまでカードキャッシングなどと言っていた消費者金融の方も、同じ仕掛けの訳ですから、カードローンと言うようになりました。
ですから、現在ではカードローンと言えば業者を問わずカードを利用したキャッシングと認識されているわけです。
銀行と消費者金融の住み分けとは?
しかし、銀行も消費者金融も同じような商品を扱っている訳ですから、利用者の取り合いになります。
しかし説明したように両者は提携を結んでいますから、取り合って互いにつぶし合う必要はなく、上手に住み分けを考える事が必要でした。
普通なら銀行の方が金利が低く利用者が集まりやすいですが、その代わり審査は厳しいため、利用できない人出てきます。
そういう人は提携する消費者金融に行けば多少金利は高くなりますが、審査が緩くなるので、利用者を提携関係のある両者で分け合う事ができる様になっています。
これによって、カードローン提供の為に無くなってもらっては困る消費者金融の存続も図れるという訳です。
現在では貸金業法が厳しくなって消費者金融の経営が傾いてしまったために銀行は提携関係にある消費者金融を自分のグループ企業に入れて支援したことから、両者はさらに深い関係になって来ています。
現在でも従来型キャッシングは存在する!審査の難易度に注意
このように現在では銀行も消費者金融もカードローンを提供していますが、このカードローンを提供するためには、ATM網を作る必要があり、かなりの資金力が必要になります。
このため、銀行や大手消費者金融ならともかく、中小消費者金融では、そういった設備投資を行うのは難しく、カードローンを提供することはできません。
そこでこういった中小消費者金融は現在でも窓口或は銀行振込だけで融資を行うカードを使わないキャッシングが残っています。
当然使い勝手はその分悪いですが、こういった小規模業者はブラック対応など様々な生き残り戦略を考え、事業展開しているのです。
カードローンを提供するにはかなりの資金が必要
こういった経緯があってカードローンはいまや銀行と消費者金融の共通した金融商品として位置付けられています。
ただし、こういったカードローンを提供するにはATM網を構築するためにかなりの資金が必要になります。
銀行はキャッシュカードの運用なども有り、例え地方銀行であってもATM網を構築していますが、消費者金融の場合、このカードローンを提供しているところは大手と中堅の一部だけです。
このため消費者金融のカードローンというのは店舗内だけのATMというような場合を除いて、全国的に見てもそれほど多くはありません。
中小消費者金融ではカードローンの提供は無理
しかし、街中を見ればこういった大手消費者金融だけではなく、中小消費者金融が多数存在することが分かります。
こういった中小消費者金融は当然カードローンの提供はしていません。
ではどういった融資を行っているのかと言えば、基本的にはカードローンを提供する前の消費者金融という事になり、窓口で申込んで窓口で融資を受け取るところも有ります。
ただし、自動契約機を設置したり、融資は銀行振込で行っている所が多く、申込みではネットが利用できるところも増えています。
中小消費者金融の生き残り戦略
当然ですが、利用者はキャッシングを利用したければ、まずは銀行のカードローンの利用を考え、審査通過が難しい場合には次に大手消費者金融のカードローンの利用を考えます。
しかしそれでも審査通過が難しい場合には、更に中小消費者金融の利用を考えます。
したがってこういった業者の間には審査の難易度に次のような関係ができています。
キャッシング | 審査の難易度 |
---|---|
銀行のカードローン | 難 |
大手消費者金融のカードローン | 中 |
中小消費者金融のキャッシング | 易 |
キャッシングを利用する場合には、自分の信用評価をよく考えて、適切なものを選ぶようにしましょう。
本文で説明しているように信用評価が低い人でも中小消費者金融まで考えれば、多くの人がキャッシングの利用が可能になります。ただしそれでも限度があって中小消費者金融でも利用が難しい人もいます。
そういう人の場合残るは闇金という事になりますが、闇金は貸金業法を守らない違法業者ですから、取り立ても厳しい可能性があり、利用は止め、公的な貸し付けなど別の方法を考えるべきでしょう。
ここでキャッシングとカードローンの違いについて纏めておきます。
- キャッシングは銀行から借りられない人に担保や保証人なしの融資を行う事で生まれた
- 厳しい取り立てなどで利用者が減った消費者金融が店舗に来なくても融資が利用できるものとしてカードキャッシングを始めた
- 消費者金融の利用者増加を見て銀行もカードローンと称してこの分野に参入したためカードローンもキャッシングの一つと言える
- ATM網の構築ができない中小消費者金融は現在でも従来型のキャッシングを提供している
カードローンはカードを利用するからカードローンなのですが、現在では振込みでの利用も増えて、必ずしもカードを必要とせず、カードが発行されなカードローンも出てきています。